魅力的な本

宮﨑神父様の異動が正式に発表され、寂しい気持ちが日に日に増しています。

久留米に来られて、10年目の春です。

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本を選ぶとき、いつもどうしていますか?

わたしは、
1.読んでいる本のなかに紹介・引用されていた
2.表紙のデザイン・タイトルに惹かれた
3.Amazonの紹介文に興味を引かれた

などが決め手ですが、1は当たり(好みの本)が多く、2と3は外れ(期待と違う本)のことがあります。
思っていた内容ではなかった、読んでいて頭に入ってこない文章(翻訳のことが多い)だったなどで、最後まで読むことが出来ずに放置している本もかなりあります。

今回お勧めする本は、1~3どれでもなく、サンパウロの出張販売で見つけて購入したものです。

表紙もタイトルも(失礼ながら)素敵ではないし、誰かに勧められたわけでもなく、急いでいたけれどどうしても1冊買いたくて適当に選んだ本でした。

ところが。
読み進めていると、「そうなのか!」「しらなかった!」「なるほど!」と思わされることが多い、当たりの本だったのです。

現代における他の宗教との融和が大きなテーマで、前半は、旧約と新約における異教徒(ユダヤ教以外、キリスト教以外)の扱いについて書かれています。

その一つが、ヨナ書についてです。
ヨナ書は、「ユダヤ教の排他主義に対する批判でもある慈愛と寛容の精神」(フランシスコ会訳聖書の解説)を表したひとつの物語です。
紀元前5〜4世紀までには書かれていたとされています。

ヨナ書、わたしはあまりこれまで意識して心に留めていませんでした。

主の言葉が、アミタイの子ヨナに臨んで仰せになった、「立って、あの大きな町ニネベに行き、町に向かって叫べ。彼らの悪がわたしにまで達したからだ」。
しかし、ヨナは立ち上がると、主の前からタルシュシュに逃れようとヨッパに下った。
(1・1〜3)

この始まりについて、本にはこのように書かれています。

ヨナは、旧約聖書の中で最も有名な「外国人への宣教師」であり、かつて神から逃げようとした預言者である。
神がイスラエルの民を選んだのは、地上のすべての人に救いをもたらすためであり、他の国々への光となるためであった。
ヨナも含めて、イスラエルの多くの人はこの目的を忘れていた。
ヨナ書が書かれたのは、イスラエルの人々に諸民族に対する態度を改めさせるためであったとされる。

こんな深い物語だったとは!目から鱗でした。

しかも、こうも書いてあります。

異邦人に対するペトロの態度は、ユダヤ系キリスト教徒の見解をよく表している。
彼は、初代教会に異邦人を受け入れることを躊躇していた。
初代教会の信者たちは、自分たちはユダヤ教のなかのひとつのグループのメンバーであると思っていた。
ペトロも同様であったが、百人隊長コルネリウスに出会ってから変わった。
コルネリウスはペトロから洗礼を授かった最初の異邦人である。
(使徒言行録10章参照)

ペトロはコルネリウスに会う直前に、異邦人と関わりたくない態度を示し、岸沿いの町ヤッファにいた。
旧約では神はイスラエル以外の民族を救うために預言者ヨナをニネベに遣わしたが、ヨナはこの使命を拒んで反対方向へ行き、ヤッファ(ヨッパ)から逃げようとした。
このように、ヤッファ(現在のイスラエルの中心都市、デルアビブ)は異邦人への宣教の象徴的な出発点となったのである。

こうした意図を理解した上て改めてヨナ書を読み、ヤッファがいかに今日まで象徴的な町であるのかに思いを馳せています。

2019年の巡礼の最後の日に、ヤッファを訪れました。
それまで巡っていたエルサレムやガリラヤ湖畔の町、死海周辺の町、聖書の香りがあちらこちらに漂う町とヤッファは、全く違う世界でした。

様々な人種、様々な宗教、東アジアとヨーロッパどちらの影響も色濃く感じられる現代都市でした。

おそらく、当時の港町ヤッファもそうであったはずです。

 

主はわたしたちにこう命じておられます、『わたしはあなたを異邦人の光として立てた、あなたが地の果てまでも救いをもたらすために』」。
異邦人たちはこれを聞いて喜び、主の言葉をたたえた。
そして、永遠の命にあずかるように定められていた人々はみな、信仰に入った。
このようにして、主の言葉はその地方全体に広まった。
(使徒言行録13・47〜49)

 

 

ヤッファの丘の上にある、聖ペトロ修道院からの眺めと、聖堂内部の写真です。

今なら、なぜこの地にペトロの名を冠した修道院があるのか、よく理解できます。

 

 

テルアビブも攻撃を受けており、イスラエル上空は飛行禁止区域となっています。

もう安心してイスラエル巡礼に行ける日は来ないのかもしれません。

2500年経っても異教徒の排斥がこのような形で起きているのかと思うと、胸が痛くなります。